III.身体汚染スクリーニングとサーベイメータの取り扱い
身体汚染スクリーニングは、放射性物質が身体表面や体内に存在するか否かを確認することを目的としており、身体の除染や専門医師による医療措置の判断に必要な身体汚染の情報を提供します。
ここでは初期被ばく医療の身体汚染スクリーニングとして行われる身体表面および頸部甲状腺部位の身体汚染スクリーニングと代表的なサーベイメータの取り扱いについて以下に述べます。
1.身体汚染スクリーニングの方法と評価
(1)身体汚染スクリーニングの準備
- 身体汚染スクリーニング用サーベイメータとして、β線表面汚染を測定できる大面積端窓型GMサーベイメータを準備します。
- サーベイメータには計数率(cpm)から表面汚染密度(Bq/cm2)への換算係数を記した校正票を貼付します。
- サーベイメータのバックグランド計数率をメータの指示範囲の中央値から求めます。
- サーベイメータの検出器が汚染しないように、薄手のビニール袋等で覆い保護します。ビニール袋が汚染したら新しいものと交換し、汚染したものは放射性廃棄物保管容器に収納します。
- 汚染している衣服、帽子等はビニール袋などに入れて、保管します。
- スクリーニングの準備
- サーベイメータの時定数を10秒に設定します。
- レンジを計数率が測定できるレベルに合わせます。
- スクリーニングレベルに相当する計数率を決定し、それにバックグランド値を加えた計数率を求めておきます。(p.27、28参照)
- スクリーニングレベルを超えた場合は、計数率を詳しく判定します。場合によってはレンジを上げる必要があります。
(2)身体汚染スクリーニングの方法
創傷のある場合は、創傷部位の身体汚染スクリーニングを優先させます。また、汚染の拡大防止のため、所定の場所でスクリーニングを行います。
- 2人一組で、1人が被災者の測定を行い、他の1人はこれを補助するとともに測定値(計数率)を読み取り記録します。
- 測定はサーベイメータの時定数、レンジを適切に選択し、β線入射窓を身体表面に向けて測定します(この場合、ケーブルの汚染は注意する)。
- 検出器の汚染防止のため、被災者の身体表面や衣服の表面から検出器表面を約1cm離し、ゆっくりとした速さ(3〜6cm/s)で走査します。
- 身体表面汚染の測定は、頭髪顔(口角、鼻の入口)両肩手のひら手の甲衣服 その他の順に行います(ポケット、ズボンの裾等に留意して)。
- スクリーニングレベルを超えた部位については、検出器を20秒以上保持してから、計数値を読み取ります。
(3)検査の記録と面密度の評価
- スクリーニング測定記録票に測定年月日、サーベイメータ番号等必要な事項を予め記入します。
- 検査の区分(除染前か除染後か)を記入します。
- 測定部位毎に測定部位と計数率の最大値を記録票に記入します。なお、特定部位に汚染を検出した場合には、その部位を赤丸で示します。
- 各測定部位の計数率を記入し、バックグランド計数率を差し引いて、正味の計数率を求めて、指定の欄に記入します。
- 正味の計数率に表面汚染密度換算係数を乗じて、表面汚染密度を算定します。換算係数は、サーベイメータに貼付された校正票の値を使用します。
表面汚染密度の求め方
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表面汚染密度(Bq/cm2) =正味の計数率(cpm)
×表面汚染密度換算係数(Bq/cm2/cpm)
×換算係数の補正値
例:核種 放射性ヨウ素(131I)
正味の計数率 2,500cpm
表面汚染密度換算係数 2.1×10−3Bq/cm2/cpm
表面汚染密度換算係数の補正値 4.3
表面汚染密度 2,500×2.1×10−3×4.3=23.65Bq/cm2
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表面汚染密度換算係数は多くの場合、ウラン線源を用いて得られます。しかし、緊急時に放射性ヨウ素等を測定する場合には、β線のエネルギーの相違を考慮し、さらには測定条件を考慮して表面汚染密度換算係数を補正する必要が あります。((4)参照)
校正済みであり校正定数が貼布されている身体汚染スクリーニング用サーベイメータの場合は上式より表面汚染密度換算係数を求めることができます。例えばTGS-136型サーベイメータの場合、校正定数は4.2×10−2(Bq/cpm)となっており、表面汚染密度換算係数としては2.1×10−3(Bq/cm2/cpm)を得ることができます。
汚染核種がウランと異なる場合、即ちβ線の最大エネルギーがウランと異なる場合の表面汚染密度はエネルギーの違いを考慮する必要があります。また、測定はGM計数管を表面からいくらか離して行いますので、これによる感度の変化を考慮する必要があります。これらの補正を表面汚染密度換算係数の補正値とすると、表面汚染密度は、この換算係数の補正値を用いて次式から求めることができます。
放射性ヨウ素の場合、エネルギーの違いと、測定条件の違いを考慮して表面汚染密度換算係数の補正値は図4−1より求めることができます。体表面と検出器の測定距離が10mmの場合は図4−1の10mmの場合の曲線上での放射性ヨウ素のβ線最大エネルギー0.6MeVにおける値が表面汚染密度換算係数の補正値となります。