2001年9月11日アメリカでの同時多発テロ以降,核テロに対する被ばく医療について感心が高まっています。核テロの類型と医療上のポイントについて述べます。
・核テロの類型
| 放射能散布兵器 (RDD:Radiation Dispersal Device) |
(1)核爆発を伴わずに放射性物質を飛散させる装置
(2)飛散させるために通常の爆発物を使用(ダーティーボム)
(3)材料の放射性物質は工業や医療を含む広い範囲から使用
(4)殺傷能力は通常兵器や化学兵器より低い |
| 簡易核兵器 (IND:Improvised Nuclear Device) |
(1)核兵器の改造や独自の構造により核爆発を起こす装置
(2)材料には濃縮ウランまたはプルトニウムが必要
(3)現場では熱・衝撃波・強い放射線が認められ,殺傷力は大きい
(4)広く放射性の核分裂生成物が散布される |
・核テロ時の被ばく医療のポイント
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放射線障害の検討を行う前に,患者の外傷を医学的に安定な状態に保ちます。その後で外部被ばくか汚染かを判断します。
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嘔心,嘔吐,下痢,皮膚紅斑が4時間以内に出現した患者は,高線量(しかし生存可能かもしれない)の外部被ばくを受けています。⇒8〜24時間以内にリンパ球減少がするので全血算を連続的に行います。輸液,抗生物質,各種刺激因子による支持療法を開始。皮膚,骨髄,腸管の障害発生に備えます(p56「高線量全身被ばく/急性放射性症候群の対応」参照)。
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神経障害(一過性意識消失など)や原因不明の血圧低下の患者はきわめて高線量の外部被ばくを受けています。⇒生存の可能性は低いと考えられます。
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身体表面が汚染している場合⇒脱衣により90%の放射性物質が除去されます。正常皮膚は中性洗剤(石鹸でも可),温水(または水),ガーゼ(タオル)で効果的に除去できます。傷口の汚染は生理食塩水とガーゼで洗浄します。
- 未知の金属片は強い放射性かもしれません。⇒必ずピンセットで取り扱い,除去した金属片は遮へいされた区域に置いて下さい。
・病院管理上のポイント
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まず,患者の流れの動線を決めます。⇒入り口,出口を決めます。動線がクロスしないようにします。
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自分が被ばく・汚染したかどうかを知りたい何千人もの人々が病院に殺到(サージ現象)します。⇒患者の流れを交通整理するチームが必要です。
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病院自体にテロリストが紛れ込むこともありえます。⇒警備チームが必要です。
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テレビをつけます。⇒外部と十分に連絡が取れないこともあり,したがってテレビが重要な情報源になります。得られた必要な情報は病院内に伝達します。
・災害現場からの問い合わせに対して
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放射線以外の症状も聴取:視野異常・刺激臭⇒化学物質テロも想定します。
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現場付近の外傷のない公衆:汚染や被ばくが続いている可能性もあるので⇒まず現場から逃げて,着替えまたはシャワーをするように指示します。
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消防・警察からの問い合わせに対して:(1)目視できる煙には距離を取るように(放射性物質を含むかもしれない) (2)放射線測定器および化学物質検知器の反応を確認 (3)現場の被災者の人数(さらに増えるのか)⇔病院受け入れ可能人数の調整を行います。