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緊急被ばく医療体制について

緊急被ばく医療体制は,「いつでも,どこでも,誰でも最善の医療を受けられる」という命の視点に立った医療を実現することが重要です。そのため緊急被ばく医療体制は,初期に行われる外来(通院)診療を行う初期被ばく医療体制,入院治療を行う二次被ばく医療体制,および高度で専門的な入院治療を行なう三次被ばく医療体制とに分けられています(表参照)。しかし,この区分は,医療機関の機能に応じて相互に補完するための目安であり,診療の範囲を限定するものではありません。

また,緊急被ばく医療体制は,一般の救急医療体制や災害医療体制の一部に組み込まれて機能することが実効的です。具体的には,原子力緊急事態に至らない場合は救急医療体制に,原子力緊急事態の発生時には救急医療体制に加え,広域的な災害医療体制にも組み込まれて機能することが必要となります。

表 被ばく医療体制からみた施設における対応
1. 初期被ばく医療では,以下の対応が行われます。
 
(1) 原子力施設における初期被ばく医療
 応急処置および放射性物質の汚染の把握,可能な限り除染,汚染拡大防止措置を行い,緊急被ばく医療機関に患者を搬送します。
 
1.  原子力施設の内における対応
 
a. 心肺蘇生や止血等,可能な範囲での応急処置
b. 創傷汚染,体表面汚染の除染等
c. 安定ヨウ素剤の投与やキレート剤などの投与
d. 汚染の拡大防止や搬送関係者の被ばく防止
2.  原子力施設の外における対応
 
a. 汚染の拡大防止や搬送機関の放射線防護,搬送時に生じた汚染の除染に協力。
b. 除染に使用した資機材等の持ち帰りならびに処理。
(2) 医療機関における初期被ばく医療
 避難所等や原子力施設から搬送されてくる被ばく患者の外来診療,ふき取り等の簡易な除染や応急処置,線量評価のための生体試料(血液,尿等)の採取および管理を行います。また,通常の外来診療に加え,以下の緊急被ばく医療を行います。
 
 
a. 中性洗剤,除染用乳液等による頭髪,体表面等の放射性物質の除染
b. 汚染創傷に対する処置
c. 安定ヨウ素剤の投与
(3) 避難所等で周辺住民等を対象とする初期対応
 放射性物質の汚染の把握と情報の管理等を行います。
 
1.  体表面汚染レベルや甲状腺被ばくレベルの測定
2. 避難した周辺住民等の登録とスクリーニングレベルを超える周辺住民等の把握
3. 放射線による健康影響についての説明
4. ふき取り等の簡易な除染等の処置,医療機関への搬送
2. 二次被ばく医療では,以下のような診療(入院診療)が行われます。
 
 
1.  局所被ばく患者の診療
2. ホールボディカウンタ等による測定,血液,尿等の生体試料による汚染や被ばく線量の評価
3. 高線量被ばく患者の診療
4. ブラッシング,デブリードマンなどによる除染処置や合併損傷の治療
5. シャワー設備などによる身体の除染
6. 軽度の内部被ばく(放射性同位元素を用いた診断による被ばくと同程度のもの)の可能性がある者の診療の開始
7. 三次被ばく医療機関への転送
3. 三次被ばく医療では,以下について専門的な入院診療が行われます。
 
 
1.  重篤な局所被ばく患者の診療
2. 高線量被ばく患者の診療
3. 重症の合併損傷の治療
4. 重篤な内部被ばく患者の診療
5. 肺洗浄等の高度な専門的な除染
6. 高度な専門的な個人線量評価
7. 様々な医療分野にまたがる高度の総合的な集中治療等
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