5. 放射線防護上の線量限度の意味

人間にとって、放射線は有益な面と有害な面とを持っています。放射線防護の目的は、例えば医療における放射線の利用のように被ばくを伴う正味有益な行為を不当に制限することなく、できる限り有効に放射線を利用しながら、かつ放射線の有害な影響を防止または制限し、人の安全を確保することです。

我が国の現行の法律では、ICRP(国際放射線防護委員会)の1990年勧告(Publ.60)を取り入れ、線量限度を設けています。線量限度の数値は、直接その線量被ばくすると人体に影響が出るというものではなく、あくまでも放射線防護や放射線管理のための目安です。例えば、職業被ばくの場合、実効線量は決められた5年間で100mSv(この5年間の平均は1年当たり20mSv)を、任意の1年では50mSvを超えてはならないとされています。公衆の被ばくの場合は、1年当たり1mSvとされています。この1mSvも、生物学的な影響が出現する線量ではなく、あくまでも放射線防護や放射線管理の目安です。また、職業被ばくと公衆の被ばくとの間にこれだけの差を付けているのは、一般公衆には自分では被ばく線量管理ができない妊婦(胎児)、乳幼児や子供が含まれている一方、職業人は成人であり、日常業務において被ばく線量を計測し、個人個人の被ばく線量管理ができ、線量限度を守ることができる人達であること等の理由によるものです。

このページのトップへ